ニュースレター

021号 2011年6月

■ 今回のテーマ

・一挙一動が試験結果を変えると思うのです。

・ 初めての白衣

機能食品研究所、梅田です。いつも大変お世話になっております。

「動物試験の種類一覧、参考になりました。」「展示会(インターフェックス)に、今年も顔を出すね。」「(前号を読み)会社設立を疑似体験できました。」というお便り・メール内の追伸をいただきました。こうやって皆様からコメントを寄せていただけます事、心から感謝しております。

一挙一動が試験結果を変えると思うのです。

ヒト試験の測定日当日、試験を依頼されたお客様(メーカー様)が試験会場である三重大学内見学にみえられる事があります。

見学内容は被験者さんが試験会場に来院され、受付を済ませ、試験日誌(被験物質の摂取・塗布記録、食事・運動記録)を提出、待合室で待機、各種測定、問診、次の測定日確認・被験物質の手渡しという一連の流れです。 見学の最中、機能食品研究所の名札を付けて弊社スタッフのふりをしていただきます。このようにして試験を依頼されたお客様のメーカー名を伏せておくのは、被験者さんが「○○○○というメーカーさんの物質だから更に効く気がしちゃうね。」「○○○○というメーカーさんが、こういう物質で試験をされているのね。この話が世に知れるといけないから決して口外しないぞ!(ドキドキ)」という変なプラセボ効果やプレッシャーがかかってしまう事を防ぐためです。追記:2017年9月現在、倫理的な観点からメーカー様名公表を行っております。

見学をされたお客様からよく言われるのが「【流れるような導線と被験者さんへの対応】に感心します。すごく自然で柔らかい雰囲気ですね。その雰囲気のおかげからか、被験者さんが『正確な良い試験になるように、しっかりと協力をしよう。』と思ってくださっている気持ちが伝わってきます。」というお褒めの言葉です。私は「お褒めいただき、光栄です。嬉しいです。」と少し落ち着いた雰囲気でお礼を言いながら、心の中では『やったー。被験者さん・統括医・スタッフの気持ちと努力をご評価いただけた。わーい。』とテンションが上がっております。

この【流れるような導線と被験者さんへの対応】は統括医の先生とスタッフによって綿密に練り上げられ常に進化し続けるマニュアルによって日々進化しております。

少し具体的にお話させていただきますと、ヒト試験の測定日は大きく分けますと以下の2つの行程で成り立っています。

①スクリーニング(被験者抽出用の測定)

②本試験(有効性・安全性評価用の測定)

1つめの行程【①スクリーニング(被験者抽出用の測定)】は、有効性・安全性評価用の測定(本試験)のために行います。

たとえばコレステロールの試験なら、各種コレステロール・体脂肪・その他の血液項目・病歴がこれぐらいの範囲・内容の方で試験をした方が良いと入念に計画を立て、その範囲に当てはまるであろう被験者さんを実際に測定して抽出します。

統括医の先生の話では「その試験の被験者さんとして的確かどうか見極めに重点を置いてじっくりと問診をしている。さらに、被験者さんと色々とお話を聞くなどをしてコミュニケーションも重要視している。それが試験内容を理解し正確にご協力をしてくださる被験者さん、つまり質の良い試験を成立させるための被験者さんを抽出する秘訣。」との事です。

スタッフも、被験者候補の皆様に試験の目的・意味・気を付けていただきたい項目を文章・ビデオ・イラストを使い正確に説明し、被験者さんの「協力しよう」というお気持ちに対し感謝の気持ちを込めて一挙一動に気を付けて行動しております。

2つめの行程【②本試験(有効性・安全性評価用の測定)】は、名前の通り試験の本番です。①で入念に抽出した被験者さんのご協力のもと、正確な有効性・安全性を摂取・塗布・測定によって評価していきます。

統括医の先生の話では「試験によって生じた有害事象がないかにも重点を置いてじっくりと問診をしている。」との事です。

スタッフも一挙一動に気を付けております。被験者さんへの応対で【使う言葉・かもしだす雰囲気】だけでなく、【使ってはいけない言葉・かもしだしてはいけない雰囲気(NGワード・NG雰囲気)】など綿密に決めてあります。ついうっかり使ってはいけない言葉をアドリブで言ってしまおうものなら被験者さんの協力により得られたデータの信頼性・正確性が欠けてしまう悲劇が生じる可能性があります。そのため、NGワード・NG雰囲気には細心の注意を払っております。

このNGワード・NG雰囲気の例をあげますと、たとえばダイエットの試験で被験者さんからの「自分が痩せていった・痩せていっていない」という言葉に「そうですね。(同調)」「いいえ(否定)」という言葉・雰囲気を出してしまおうものなら、被験者さんが『日常生活のリズムを変えないでくださいという約束だったね。』と分かっていても階段を使う頻度が無意識に増えたり、食事で無意識にダイエットに適したものを選んでしまい体重が減る可能性が生じます。他にもたとえば血圧の試験で「お約束の来院時間を守ってくださいね。」という言葉・雰囲気を出してしまおうものなら、被験者さんが『少し焦ったり、早歩きするだけで血圧が上がるといから、平穏な心で測定会場に向かう約束だったね。だから、この交通渋滞でも気にしなくても大丈夫。』と分かっていても、無意識で遅刻への罪悪感によりドキドキして血圧が上がってしまう可能性が生じます。このように、被験者さんの「協力しよう」と思ってくださる気持ちが、NGワード・NG雰囲気のせいで無駄になってしまう危険がありますので要注意なのです。

このように、誤った一挙一動が未来(試験結果)を悪しき方向に曲げてしまい、試験結果が事実と違うものになってしまうというリスクを含んでおります。沈黙は金なりと言いますが、被験者さんのご厚意への感謝の気持ちを大切にしたいので「必要事項だけお伝えし、後は黙っていよう。」というのは絶対にしたくありません。

そこで弊社は、誤った一挙一動が未来(試験結果)を悪く変えてしまう事を恐れるのではなく、試験を公平・正確に行うための一挙一動のノウハウにより精度・再現性の高い未来(試験結果)に近づけて行くのだという気構えでヒト試験を行っております。

初めての白衣。

会社のロッカーの整理をしていたら、学生時代の白衣が出てきました。

私は学部(近畿大学農学部)の4年間、エコプロジェクトというサークルで農学系の技術で環境に対して出来る事の勉強会・畑作業・山登り・自転車旅行などを楽しんでおりました。そのサークル活動の時には面白おかしくて楽しい雰囲気の先輩達が、部活以外の時に大学の廊下を白衣姿で真剣な表情で歩いている姿を見て「すごく格好いい。」と思った大学1年生の時の記憶が今も忘れられません。その後、学科や研究室が違うサークル仲間の同級生や後輩まで白衣で歩くようになってきて「やはり格好いい。そして、うらやましい。早く私も着る必要が生じないだろうか。」とも思っておりました。

今になってよく考えると白衣は清潔を保つ目的の道具であり、着用している姿形を見て【うらやましい】と思うのは変な話。でも、当時の私は白衣にあこがれがあり、大阪日本橋の道具屋筋という色々な道具が揃っている商店街に行った時に白衣コーナーを探したり(コックさん用の調理白衣しか無かった。)、研究機器カタログで白衣のページを何度も読み返しておりました。

そしていよいよ大学4年生の春、担当教官のネルソン先生との研究打合せの時に、今後は神経毒やら発癌性物質を扱うから白衣が必要ですねという話題が出てきました。「やったー」という心を抑えて落ち着いた雰囲気で「お勧めの白衣メーカーとか有りますか?」と先生に伺ったところ、おもむろに実験机の引き出しから畳んである白衣を取り出され「私のお古ですが、あげます。」とプレゼントしてくださいました。

とても嬉しかったです。

大喜びで袖を通したら、同じ研究室の仲間が 大 爆 笑 。

袖口にゴムが入っていてギュッと絞られる構造により、薬剤等に触れて汚してしまったり、試験管に当たって倒してしまう事の予防できる。

使い込まれて柔らかくなった生地のおかげで、動きやすく肩もこらない。

・・・でも私が着ると「割烹着にみえる。」との事。

試しに仲間が着てみたが、格好いい。 私、嫉妬。

その後も研究室の誰が見ても割烹着に見えると言うので、大学の廊下を白衣でさっそうと歩く夢は叶えませんでした。自粛。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。