ニュースレター

036号 2012年 9月

■ 今回のテーマ

・機能食品研究所は、なぜ10日で速報を出せるのか?(第5回: 試験実施の話)

機能食品研究所、梅田です。いつも大変お世話になっております。

「タイトルにホロデッキ(疑似体験装置)と書いて有るのを見て、スタートレックの話題だなと直ぐにわかりました。」「病院での『何で朝ご飯たべちゃったの?』『パンなら良いと思って。』という冗談話を思い出すたび笑えます。」「(通信を)拝読すると、お元気そうで何よりです。」というメール内の追伸・お会いした時にコメントをいただきました。暖かいお言葉、励みになっております。ありがとうございます。

機能食品研究所は、なぜ10日で速報を出せるのか?(第5回)

前回は行程の「④被験者募集」までお話させていただきました。

全体の流れは以下の通り→【①仕様書作成。②計画書作成:仕様書を基に文章化。③倫理委員会:ヒトでの試験をする為に計画書等の審査。④被験者募集:試験の目的に最適なモニターさんを選出。⑤試験実施:被験物質を摂取・使用し、定期的に測定。⑥速報:主要解析項目のデータ集計・グラフ化。⑦グラフ案:グラフ案を作成。⑧文章案:文章案を作成し、納得のいくまで練り上げ。⑨完成:仕上げ。】

今月号は、「⑤試験実施」の創意工夫や体験談をお話します。

試験実施の行程について多くいただく質問は2つ有ります。

その1:測定機器が万が一壊れたら?

その2:試験現場の視察・測定機器の持ち込みは可能?

機能食品通信15号「測定機器の動作チェックを欠かさない梅田」「測定機器の使用方法は、測定日毎にチェックリストで確認します。」と、2930号「ヒト試験会場での見学と測定。見学編・測定編」と一部内容が重複しますが、今回はこの2つについてお話させていただきます。

■その1:測定機器が万が一壊れたら?

いつ壊れても困らないように、2台以上ずつ機器を用意してあります。どうしても2台以上用意できない場合は、万が一の故障時の返金等を含め御契約を検討していただく前に必ずお伝えする事にしております。

測定機器ですが、正しい扱い方で大切に使っておりますため、全く壊れません。メンテナンスも入念です。2台以上ずつ所有している事を「心配しすぎだなぁ。」と思われるかもしれません。測定データの消失が怖くて複数台のハードディスクに同時に記録されるようにしたり、急な停電時でも測定機器が使えるように非常用電源を用意したりと、梅田の頭は『心配』の言葉で埋め尽くされているのではと思われるかもしれません。

いえ、それは『心配』ではなく『即座に対応できる体制』なのです。

私ですが、【新スタートレック】が大好きです。これは宇宙船エンタープライズ号Dのジャン=リュック・ピカード艦長らの物語。艦長の思慮深い行動も好きですが、中高生の時の私は敏腕エンジニアのジョーディ・ラ=フォージ中尉と、コンピュータの脳と機械の身体を持つデータ少佐の活躍にワクワクしていました(階級は放送開始時のもの)。未知の現象の影響を受けて各種センサー・通信機・エンジンの不具合発生、更にあと何時間以内に修理出来ないとブラックホールに引き込まれるなどタイムリミットが生じる・・・みたいな手に汗握るストーリーが多いこの作品。それらのトラブル発生時に、彼らは「補助回線に切替えました。」「直ぐに部品を取替えます」と言って即座に対応します。その『即座に対応できる体制』を梅田は見習い、弊社の『写真入り機器取り扱いマニュアル』に、予備機を使わねばならなくなった時用の手順も記載しました。なるべく機器間の測定誤差が出ないように、使える部品から順に取り替えていき仕方が無い場合のみ総取り替え&誤差の特定という手順にしております。

ある日、弊社で事件は起きました。被験者さんの測定中に機械が故障しました。1週間前に機器メーカーでの定期点検をして貰ってあっただけに、驚きました。しかし驚くのは一瞬だけです。様々な壊れ方に対する各々の解決方法を用意してあるので心配はありません。先ずは、お待ちいただいている被験者さんに「復旧作業中、少々お待ちいただけますでしょうか?」と、お願いをします。それと同時に手順通り故障部位を特定し、部品交換を完了。新スタートレックの彼らのような頼もしさを目指し、梅田はこれからも『即座に対応できる体制』を磨いていきます。

 

■その2:試験現場の視察・測定機器の持ち込みは可能?

★視察について。

弊社は、メーカー様(ご依頼主)に、その発注していただいた試験現場の見学をしていただいております。リラックス度合いを測定する試験のような被験者さんへの圧迫感を少しでも減らしたい試験や、被験物質を飲んで30分後・60分後・90分後・120分後の採血を行うような常に秒単位での精度が必要とされる覆水盆に返らずな試験は事情を説明したうえで見学をご遠慮いただき、試験当日の現場を撮影した写真をお送りしております。

見学していただく時、3つだけお約束いただきます。

1 被験者さんへの過度な緊張が有ってはならない。

緊張して汗をかくと、皮膚のバリア機能による水分蒸散量

なのか汗が蒸発したかの区別が付きません。

他にも血圧や心拍数上昇のリスクも避けなければなりません。

2 試験実施の精度が落ちてはいけない。

試験現場で梅田がメーカー様に各場所をご説明している最中

被験者さん対応や、機器・温湿度チェックのため

一旦離れる事があります。精度保持のためご容赦ください。

3 メーカー名を被験者さんに知られてはいけない。

どこのメーカー様依頼の試験をしているという情報は

被験者さんにお知らせしておりません。

我が社のスタッフのふりをして見学していただきます。

この3点をご留意いただければ、あとは自由に試験会場をご見学いただけます。見学時間は30分間ぐらいの方もいらっしゃれば2時間じっくりの方もいらっしゃいます。お越し戴きましたお客様から「この被験物質の開発に6年かかりました、今日の見学はまるで娘の小学校の入学式に来たような気持ちです。」「信頼してお任せしてあるけど、見学する事で信頼が増しますね。」「想い入れが強い商品なので、ここまで来たぞという嬉し涙が出ました。」というお言葉をいただくたび、視察をしていただける事は重要だと実感しております。

★実施の一部担当について。

お客様から「自社で新開発した血液分析方法を試してみたいけど、採血後10分以内に前処置を完了させねばならない。」「測定機器を自社開発したので、それを現場に持ち込みたい。」「皮膚に粘着シールを貼って優しく剥がして角質を採取するとき、自社開発した分析方法に最適な力加減で採取したい。」「最新の機器を買ったから、それも使って測定したい。」というお話・ご相談事をいただく事があります。その場合「測定日の全日程、その測定項目について現場で指揮をしていただけませんか? 弊社スタッフがアシスタントをします。」とご提案しております。

もちろん、どの被験者さんがどの群なのかという情報は現場に居る弊社スタッフ・医師・看護師・測定にお越しくださったメーカー様の誰も分からないようになっておりますので「この被験者さんは対照群だから、この数値はおかしいな、もう一度測りなおそう。」という恣意(しい)は生じないのでご安心ください。

私の考えですが、「説明書を読んで習得します。」と「使った経験がある。」は、似ているようで違うと思っております。同一の包丁を使ったとしても熟練者との差が出るそうです。そのため、熟練者の方が目の前に居らっしゃるのであれば「宜しければ、三重県まで測定にお越しいただけませんか?」とご提案しております。もちろん、お客様から「貴社で使い方を習得してください。」というご依頼をいただいた時は、入念に使用練習をし、更に写真入のマニュアルを自作する過程でイメージトレーニングも重ねます。測定者の腕前による微細な誤差でも、採取したデータが多ければ誤差が積み重なって大きな差を生んでしまわないとは言い切れません。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥とも言いますので、使用法について細かいニュアンスまでお客様に確認をして準備を重ねます。その姿勢をご評価してくださったお客様から「意思疎通がしやすいから、機能食品研究所の事を一緒に研究をしている仲間のように思っているよ。」と言っていただいた時は、嬉しくて眠れませんでした。

そして、次の工程「⑥速報」へと進みます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。