ニュースレター

048号 2013年 9月

■ 今回のテーマ

・ 時間勝負の採血、その舞台裏。

製薬企業様80名の前で『認知性食欲と代謝性食欲』について講演させていただきました時、アンケート内の自由記述欄に「声が(ガンダムの)アムロ・レイに似ている。」と有り、新たな自分を発見した梅田です。2名のかたがアムロ・レイと書かれていたので書き間違いでは無さそう。今年の忘年会の一発芸は「ガンダム、いきまーす!」に、決まりです。

先月号の『伊勢神宮のお白石持(おしらいしもち)行事の体験談』に「今週末、伊勢神宮に行くんですよ。機能食品通信が参考になりました。」 「お伊勢さんの神事が事細かく記されていて、臨場感一杯、なかなか新聞や雑誌では知ることの出来ない内容で、最後の文までぐいぐい引き込まれていきました。やはり実体験に勝る記事はありませんね!」 「その行事、行けなかったので、体験談を読めて良かったです。」等のコメント・お便りを多数お寄せいただきました。皆様からのお声をいただけます事、誠にありがとうございます。励みになっております。

時間勝負の採血、その舞台裏。

弊社が受託している臨床試験様々な試験系が有ります。たとえば、先ず 0 分目(初期値)の採血をしてから被験物質の摂取または塗布し、30、60、120分後のように何度も採血をして血液の数値の変化を確認する試験です。

被験物質を摂取した直後に『液体の糖分』を摂取すれば糖の吸収量の確認が出来ます。液体の糖分摂取の代わりに『食事』をして貰えば食事による血中の糖や中性脂肪の量が確認できます。この試験系を使えば、食後血糖値や食後中性脂肪の上昇抑制効果を期待できる被験物質とプラセボ群(対照群)の群間差が確認できます。

今回は、その1例として『被験物質摂取』と『食事摂取』をして血糖値の変化を確認する『食事負荷試験(食後血糖値の上昇抑制効果を確認する試験)』の舞台裏のお話をさせていただきます。

まずは被験者さんの募集

弊社に登録してくださっている皆さんの過去の血液データを確認し、その試験に【最適かもしれない方々】に募集要項をお送りし、応募を待ちます。ご存じの通り人の身体のデータは時間が経つと変化しますため、【最適かもしれない方々】というだけで試験本番とはいきません。

先ずは予備試験(スクリーニング)を実施し、食後血糖値の上がり具合を実際に測定し、試験の被験者背景に合致する方々を選出します。

この募集時に弊社が気を付けている事は、候補者の方々に正確な試験内容を分かりやすくお伝えする事です。

先ず採血回数が多い事をイラスト入りで明記する事により見落としが回避でき、当日「あれ、今日こんなに何回も採血するの? 」と驚かれずに済みます。他にも『1回目の採血量は15㎖、これは目薬の容器ぐらいの量です。2回以降は3㎖で、お弁当の醤油入れぐらい。』と明記する事により「気にならない量と時間だな。」と応募を決めてくださる方もいらっしゃいます。せっかく時間を割いてご協力いただくのだからこそ、安心してご参加いただけるよう心がけております。

被験者さんに採血前日に気を付けていただく事の説明

次に気を付けているのは、採血前日までの注意事項の説明方法です。

機能食品通信5号35号にも書きました通り

17年前にラジオで冗談話

お医者さん「なんで朝ご飯を食べてきちゃったの?」

患者さん  「パンなら良いと思って・・・・」

を聞いてから、言葉選びに気を付けております。

冗談話やコントだから笑えるけれど、現実での行き違いは取り返しのつかない悲劇を招く事も有るので、常日頃から気を付けております。

『通常の食事量でお願いします』『水以外は飲まないでください。』『タバコはこの時間以降は吸わないでください』等、説明不足や行き違いにより正確なデータが取得できない恐れがある事は予め明記しておきます。これらの内容は過去の試験時に被験者さんからいただいたご質問・ご感想を盛り込んだり、我々スタッフが先入観無しで「私が被験者さんならこういう疑問・質問が出てくると思う。」とシミュレーションのうえ吟味しております。

たとえば、待ち時間が長いとだけ書いておくと近所のショッピングセンターで時間を潰そうと思われるかたもいらっしゃいます。行動による血中の糖分の消費量を抑えるため『トイレ以外は待合室で待機をしていただきたい』事と、待機方法として本・漫画・ゲーム機を持って来てくださいと予めお伝えしておくと、被験者さんの貴重な時間を有効活用していただけます。

試験当日、進行表とストップウォッチが手放せません。

被験者さんの身体・生活のコンディションを整えていただき、試験当日を迎えましたら、正確な時間進行で試験を実施します。

0 分目の採血をしたら、直ぐに被験物質を飲んでいただきます。その後、食事(テストミール)を摂取していただき30、60、120分の採血をしていきます。

もちろん、採血室に順序良く正確な時間で被験者さんをお通しせねばなりません。スッと針を刺し、すぐさま採血してサッと抜く。この作業を、予定時間通り確実にこなしていくためには、予定時間の数分前には時間の余裕をもって採血室に被験者さんをご案内しておき、的確に時間通りに採血を実施する必要が有ります。

試験当日、複数の被験者さんがいらっしゃるため、時間管理が緻密になります。弊社は、時間を事細やかに書いて有る【進行表】を先入観無しに使う事と、【キッチンタイマー】を併用しております。

【進行表】は2つの方法で確認する方式で運用します。『 0 分目の採血から何分経ったという情報』『1人前の被験者さんの何分後に採血という間隔情報』です。

このかたは何時何分に 0 分目を採血したから30分後は何時何分で合っているなど、1つ1つ計算して現場で書き込んでいきます。4分間隔で進んでいるから、前のかたの4分後という先入観は危険です。実は 0 分目の採血前に急にお手洗いに行かれたからこのかただけ8分間だった場合、目もあてられません。通常、そういう情報はスタッフ全員に伝達・共有しておりますが、入り組んだ時間管理・運行をしている時に万が一のミスが生じないとは言い切れません。先入観無しで事実の時間を記録し、そこから30、60、120分を単純に足し算します。その次に、前の被験者さんとの間隔が合っているかどうかで検算をします。極めつけは、該当時間になると【キッチンタイマー】がピピピと鳴ります。単純ではありますが、この単純な方法の組み合わせに鉄壁の安定性が有ると思っております。20年ぐらい前に観たSF映画スタートレックで「配管は複雑になればなるほど壊しやすい(壊れやすい)。」というセリフを聞いてからというもの、私はどんな急いでいても焦っていても直ぐに遡って確認・検算できるようなシンプルな方法を作る事を心がけております。誰が見ても何を言っているのかサッと分かり、誤った使い方をすると違和感が目立って直ぐに気付くようなものを作れるようになりたいと、日々改良を行っております。

皆さんの体験談からヒントをいただく事も。

このように時間経過に伴う事象の変化の様子を確認する(タイムコースをとる)試験・実験・運用は、様々な研究分野・業界で行われております。そのため、色々なかたから「工場で生産に携わっていた時、時間差で次から次へと処理する経験をしましたよ。」「時間管理の苦労、すごく分かる。シャーレ上の細胞に10分毎に薬剤を注入した経験が有る。数が多いと、目が回るよね。」「そうそう、キッチンタイマーが必需品だよね。首から10個下げていたよ、私。」等、色々な思い出話や工夫話を聞かせていただく機会が多くて嬉しいです。皆様のお話にワクワクでき、そして勉強にもなります。これは自分でも試してみたいと思った方法については「その方法、すごく良いですね。使わせて貰っても宜しいでしょうか?」と必ずご了承をいただく事にしております。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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