ニュースレター

060号 2014年 9月

■今回のテーマ

・ 紙上展示会

その3(お客様にご準備いただく資料編)

機能食品研究所、梅田です。いつも大変お世話になっております。

今月号は、シリーズ『紙上展示会』の3回目です。展示会場でよくいただくご質問について、回答も合わせてこの紙上にて説明させていただいております。先月号も皆様からご感想や励ましのお言葉・お便りを数多くいただき、ありがとうございました。とても嬉しいです。

皆様よりいただきました内容で一番多かったのは「1つのイラストを描くのにかかる時間は?」というご質問でした。A4サイズのコピー用紙に鉛筆で下絵を描いて、筆ペンでなぞり、墨が乾いた所から消しゴムをかけ鉛筆線を消して完成。それをスキャナでパソコンに取り込んでパワーポイントなどに貼り付けております。時間にしてA4サイズ1枚あたり2~5分です。ペン型のマウス(ペンタブレットといいます)を使ってパソコンの画面上にデジタルで描く事もありますが、机上にペンタブレット用の板を出してきて繋いで・・・という下準備で2~3分かかってしまうため、時間が惜しいです。よってカラーイラストの時や、過去のイラストの一部修正で使い回す時にのみ使用しております。

紙上展示会 その3(お客様にご準備いただく資料編)

■何を準備したら良いの?

展示会会場でお客様から「臨床試験を頼むとき、何を準備したら良いの?」というご質問を多くいただきます。このご質問はお電話でのお問い合わせでも数多くいただき、特にこの1ヶ月はそのお話が多かったように感じます。従って今月号はこの話題にしようと思いました。

そのご質問に対して

【1.目的】

【2.用量・安全性データ】とお伝えしております。

この2つがあると以下の行程の①~③まで充足できます。逆にこの2つが無いと計画が定まらず、本当にその臨床試験をすべきかというお客様側での検討もままなりません。

臨床試験の行程

仕様書作成 試験内容を表にして、練り上げ。

計画書作成 仕様書を基に文章化。

倫理委員会  ヒトでの試験をする為に計画書等の審査。

被験者募集 試験の目的に最適なモニターさんを選出。

⑤試験実施   被験物質を摂取・使用し、定期的に測定。

速報       主要解析項目のデータ集計・グラフ化。

グラフ案    グラフ案を作成。

文章案     文章案を作成し、納得のいくまで練り上げ。

完成        仕上げ。

①~⑨各々の工程について、弊社がどのように工夫をして取り組んでいるかについては機能食品通信のバックナンバー『機能食品研究所は、なぜ10日で速報を出せるのか? 31号~40号(34号以外)の全9回シリーズ』が弊社ホームページに有りますのでご覧戴けますと幸いです。

さて、話は戻りますが、先ほど必要と申し上げました2点(【1.目的】

【2.用量・安全性データ】)について各々ご説明させていただきます。

■【1.目的】

先ずは目的です。「目的は決まっているよ、血糖値試験をやりたい。」と皆様から即答していただけるのでありがたいのですが、もう少し詰めていく必要が有ります。

業種は違いますが、たとえば家を建てる時に「家を建てて欲しい。いくらぐらいかかる?」だけでは、何平米の土地の面積が有り、うち何割を建物の面積にして良いのか、ブロック塀は必要か、庭の樹木は必要か、駐車場は何台必要か、何階立てまで大丈夫な場所なのか、何階建てをご希望か、鉄筋なのか日本家屋なのか、壁の色、屋根の材質、浴槽の大きさやら給湯設備や乾燥方法、トイレの数・配置、部屋の広さと数が分からず価格の見当が付けづらいですね。臨床試験も同じでして「血糖値試験、やるとしたらいくら?」だけでは、食後30分後の血糖値なのか毎日摂取していただいた時の1ヶ月後の空腹時の血糖値なのか、2ヶ月後なのかが分かりません。どんな物質かも教えていただかないと、そのご希望された条件が妥当かどうかも分かりません。また、学会発表が目的なのか論文投稿が目的なのか、そしてその学会や論文がどのような格付けのものなのかを伺っておかないと、不必要に大規模な内容の臨床試験を企画してしまいかねません。これらの事から、具体的な目的を伺わせていただきます。

■【2.用量・安全性データ】

目的の次にはどれぐらいの量をどれぐらいの頻度で摂取していただきたいなどのご希望と、安全性に関するデータです。

全くの新規の物質なのか、既存の物質なのか、市販されているものなのかなど、先にお教えいただきます。それによって、更にご準備いただかねばならない前臨床のデータ(動物や菌を使ったデータなど)が有るかどうかが早いうちに解かりますし、何より被験物質の内容が早いうちに解かっていると、ご希望されている用量の設定が妥当かどうか三重大学の専門家を交えた検討を早いうちに行えます。メーカー様内で「そんなに多量の有効性成分を配合したら、その材料代だけで幾らかかると思ってるの? 販売価格に影響が出るよ。」という議論が発生してしまうといけないので、なるべく早めにご希望の用量について入念に詰めておく必要があります。

安全性データはどこまで揃えるの?というご質問もよくいただきます。被験物質の種類・内容、摂取用量・期間によって大きく変わってきますが、先ずはそのお客様が既に販売されているかが一番初めの分岐です。既に販売されているものであれば、成分表・組成表・生産体制・販売・流通量などのデータを三重大学医学部附属病院の倫理委員会に提出して完了の事もありますし、全くの新規の物質ともなりますと被験者さんが使用しても大丈夫であるという前臨床データも必要となる事が有ります。後になってから新たな前臨床データの提出が必要と分かっては研究期間が延びてしまいますので、必要な情報を三重大学の専門家を交えて早めに精査する必要が有ります。

■【1.目的】【2.用量・安全性データ】から試験計画の仕様を作成

これら2つをお伺いしましてから、次の内容を検討し、より具体的な内容を入れ込んだ仕様書(試験デザイン)を作成していきます。仕様書について詳細は機能食品通信23号に掲載してありますので、そちらもご覧いただけますと幸いです。

この仕様書ですが、試験計画書の基となる設計図を指しております。1枚の紙に「題名」「二重盲検法(ダブルブラインド)などの種別」「群の構成・内訳」「摂取・塗布期間」「主な測定項目」「その他の測定項目」「測定スケジュール」「概算」「目的」「被験者背景」「有効性判定方法」「安全性判定方法」「統計解析の方法」「御契約から報告書提出までのスケジュール」「参考文献名」の情報を入れ込んであります。

また、「血液・尿検査の項目のように文字数が多い場合」や、「皮膚等の測定方法・条件に注釈が必要な場合」「測定日によって項目が違う場合」は【別紙】を用いて明確に把握出来るようにしております。

もちろん、試験計画書そのもの、つまり十数枚以上にわたるワープロ・ワード文章を用い何度も何度も変更履歴・朱書き・打ち消し線を使ってお客様・先生・弊社で打合せをする事も可能ですが、ご多忙なお客様・先生の労力を少しでも減らす事ができればという気持ちで1~3枚の紙だけで全体が把握出来る仕様書でご提供するシステムを採用しております。

これらの内容を詰めてようやく【初めにご提示いただきました『1.目的』】を達成できる試験系かが分かり、お客様の社内にて実施の有無をご検討いただく事になる事が多いです。ここまでの行程ですが、弊社にて文献調査や、大学の専門家の先生を交えた打合せのうえで詰めていきますため費用がかかります事をご理解いただきますようお願いします。

次号へ続きます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。