ニュースレター

062号 2014年 11月

■今回のテーマ

・ 紙上展示会 その5(文献調査編)

機能食品研究所、梅田です。いつも大変お世話になっております。

寒さが厳しくなってまいりましたが、皆様お変わりございませんか?

今月号は、シリーズ『紙上展示会』の5回目です。展示会場でよくいただくご質問について、回答も合わせてこの紙上にて説明させていただいております。皆様から「いつも読んでいますよ。」「CTスキャンと採血では1名あたりの所要時間が違い、1日あたりの測定可能人数が変わる。確かにそうですね。」「見学をする時の注意点が載っていたので、こんど見学に行く時のために回覧しておきましたよ。」「服装の違いによる圧迫感の差。説明イラストを見ながらイメージしたところ、本当に心拍数が変化しました。」「試験現場で試験の正確な実施を保ちつつ、見学のために来訪された依頼メーカーさんへの説明対応をされているのですね。忙しいですね。」というご感想や励ましのお言葉・お便りを数多くいただき、ありがとうございました。とても嬉しいです。

紙上展示会 その5(文献調査編)

先月号では『試験現場は川の流れのように編』として、試験現場のご見学時にご注意いただきたい内容について『1 被験者さんへの過度な緊張が有ってはならない。』 『2 試験実施の精度が落ちてはいけない。』 『3 メーカー名を被験者さんに知られてはいけない。』とご説明させていただきました。今月号は文献調査サービスの話題です。

文献調査のお問い合わせが増えました。

今年5月に出展しました『ifia(アイフィア: 国際食品素材/添加物展・会議)』、7月の『インターフェックスジャパン(医薬品・化粧品・洗剤 研究開発・製造技術国際展)』にて文献調査は出来ますか?というご質問をよくいただきました。その後も数多く同様のご質問をいただいております。これというのも、食品の機能性表示のルールが新しくなる事が、大きな理由のようです。

新しい【食品の機能性表示】とは。

この通信を読まれている食品をお取り扱いのメーカー様にはご存じの内容でございますが、現在の我が国では、関与成分が添加された個々の商品について臨床試験などを実施し、消費者庁の審査・許可をうけ【特定保健用食品(トクホ)】として血圧・血糖値・中性脂肪・整腸などについて「糖の吸収を穏やかにするので、食後の血糖値が気になる方に適しています。」「おなかの調子を整えたい方やお通じの気になる方に適しています。」などのように機能性を表示できます。

他にも、含有される栄養素・ミネラルに関しては国が定めた規格基準の一覧表内にある成分に関しては一日当たりの摂取目安量に含まれる当該栄養成分量が定められた上・下限値の範囲内にあれば【栄養機能食品】として「ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です。」「ビオチンは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」「ビタミンDは、腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です。」 などのように機能性を表示できます。

このたび2015年4月から新しい【食品の機能性表示】が始まる事になり、【トクホ(特定保健用食品)】や【栄養機能食品】の他に、新たな方法・制度で食品の機能性が表示できると言われております。表示できる内容ですが、疾病名を含まない「健康維持・増進に関する表現」を、「目」や「脳」など身体の特定の部位や、「免疫」「ストレス」など、身体の機能を言及した表現が可能と予想されているそうです(健康産業新聞 2014年11月19日号より抜粋)。その表記のためにメーカー様が準備される必要の有る内容ですが、以下の2つの方法のうちどちらかを充足していれば良いらしいとの事です。(細かい内容が分かりましたら、改めて機能食品通信でご報告いたします。)①商品に含有されている関与成分について、自社以外のかたが書かれたものでも良いので臨床試験の論文が世に出ていれば、複数の文献を集めて統計的に再評価するシステマティックレビューを実施。②商品そのものについてUMIN(ユーミン)臨床試験登録の後、臨床試験を実施し、その結果を査読付きの論文に掲載。

いずれも弊社において実施可能でありますため、お客様のお役に立てるように入念にサポート体制を整えております。

探して見つからない情報は無い。

私は、レイモンド・チャンドラー氏のハードボイルド小説の主人公である探偵フィリップ・マーロウが言っていた「探して見つからない情報は無い」という意味合いの言葉が好きです。この言葉ですが、事件の関係者から「なぜ貴方は、こうも様々な情報を見つけられるの?」みたいな事を聞かれた時の回答だったと記憶しております。私はこの言葉を知ってから、調べ物をする時に「探して見つからない情報は無い」と自分に言い聞かせて探す事にしております。もちろん『存在しない情報である事が分かる』という結果に至る事もありますが、この言葉を胸にして探すと「未だ未だ情報は存在するはず」と貪欲に調査が進むので座右の銘にしております。

この原稿に、この言葉の由来についてもう少し詳しく書きたいと思ったので、夕食後に自宅の書棚から該当小説を取り出してパラパラとめくってみたのですが、その台詞の記載場所が見当たりません。インターネットで検索するも「タフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない」などの有名なフレーズは出るのですが見当たらず。それならばと電子書籍版を購入し、その電子書籍内で思いつく単語を色々と入れて検索したのですが、どうしても見つからない。こうなってくると気になって仕方が無い梅田。しかし「今晩中に下書きを書いておきたい別の原稿がある。」と思い出し、時間をかければ見つかるのにと後ろ髪をひかれつつも、割ける時間との兼ね合いで断念する事に。

この言葉の由来探しをしながら『メーカー様から弊社が文献調査の仕事をいただけるのは、メーカー様ご自身で調べる時間があれば調べられるけど色々な仕事を抱えられてお忙しいので、外注されるのですね。』と再認識した梅田でした。

院生時代の文献調査。

私ですが、機能食品通信51号に書きました通り、大学院生時代に三重県鈴鹿市の商工会さんから、数社の社長様をご紹介していただくなどし、複数の会社の社長様のお手伝いをさせていただいておりました。

お手伝い内容は『中小企業の社長さんがプレゼンテーションされる時の発表スライド作り(作図・作画・読み原稿作り)』『商品紹介のビデオ動画撮影&編集』『子供たちにパソコンで行動をプログラミングできる動力&マイコン付きレゴブロックを教える教材作り&講師』『特許を調べ、その内容を分かりやすく説明』『論文調査』 など色々とお任せいただきました。まずは社長様のご要望を伺い「これならばお手伝いできますよ。10時間分の時給&交通費でいかがでしょう?」のように具体的な所要時間等を提示して引き受けさせていただいておりました。

特に思い出深かったのは、120件の医療関連の機械・道具に関する特許を調べ、各々の機械の技術及びどのような病態を対象としているかの情報をスライドに起こしてプレゼンするお仕事でした。話を伺うと、機械の専門家と医療の専門家を交えた会議にて特許の資料を見ながら話をすると、専門外の部分つまり半分がよく分からないのでお互いの不足分を補完する必要が有る。それを1つずつ会議の場でやっていると日が暮れる。だから梅田君が両方の技術を噛み砕いて双方に説明して欲しいとの事。

この仕事、依頼から〆切りまで6日間と短かったため、時間との闘いでした。院生としての研究を疎かにせず調査を行う方法を考えました。当時やっていた細胞関連の実験の合間に数分ずつの待ち時間が有りましたので、キッチンタイマーを同時に2つセットし、次の作業までの時間を有効活用。キッチンタイマー2つというのは、1つが壊れても必ず次の作業開始時間に鳴るからです。これでうっかり時間が過ぎてしまって実験失敗となる事を防止できます。それらの合間に120件分の特許資料の束に目を通しておきました。そして家に帰ってから機械の仕組みや部品や、病態に関する内容を調べました。そして1つの特許につき1~4枚のスライドをパワーポイントで作り、1つの特許につき1分以内で説明する練習も行ないました。

そして当日、機械作りの会社の社長さん数名と、医療系の大学の先生数名、特許の専門家と商工会のかたを前にプレゼン開始。機械の説明をしている時は機械の専門家の方々が笑顔で頷きながら『それで合っているよ』という無言のサインを送ってくださり、医療の説明の時は医療の専門家の先生がたが同様の事をしてくださったおかげで90分間のプレゼンを無事に完了させる事ができました。

起業後の文献調査。

私は機能食品通信1号に、こんな文章を書きました。『2004年春の会社設立直後は、まずはお客様の信頼を勝ち得るために、文献調査、原稿の代筆等を黙々とこなしている状態でした。 まるで、テレビドラマの探偵が、物語の冒頭で「迷子の猫探し」をしながら「ああ、大きな仕事、来ないかな~」と遠い目をしているシーンです。(以下略)』

この文章で出てきた起業当初だけでなく今に至るまで、文献調査及び調査結果をメーカー様の会議室にて営業・研究・広報・役員の皆様の前でプレゼンさせていただくようなお仕事を定期的にいただいております。そのたびに院生時代の特許120件調査の時の『どの分野のかたが聞かれてもご理解いただけるような説明をしよう。』という初心を忘れず入念に準備をしてプレゼンを行っております。このように機能食品研究所は、これからも文献調査と調査結果の報告の技術を磨いて参ります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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